» 会の運営に役立つハウツー集　サマーキャンプ専門医と患児、家族が集まり、治療や生活に関する問題解決に取り組む Pfizer

あすなろ会（若年性関節リウマチ親の会）　事務局・広報担当理事　石垣成子

専門医が少なく、治療が難しいとされている若年性関節リウマチの親の会である「あすなろ会」は、毎年、静岡県浜名湖でサマーキャンプを開催しています。今回は、医療関係者と当事者が集い、問題解決を図る有意義なイベントとして注目されるサマーキャンプをご紹介します。

1985年に創立された「あすなろ会」は、常に新しい情報を得て、病気を正しく理解し、親同士が悩みを共有し、親睦を図ることを目的としていますが、その象徴とも言えるのが、昨夏で9回目を迎えた浜名湖での「サマーキャンプ」です。

私たちのサマーキャンプは、医師主導ではなく、患児や親の求めるものを、と始めたもので、内科や整形、リハビリテーションなど各分野で若年性関節リウマチの研究・治療に携わる専門医と、患児と家族が一堂に会することが特徴です。医師には最新の医療情報を提供してもらい、個別相談では患児ひとりひとりに適した治療を検討します。複数の医師が参加するのでセカンドオピニオンを得たり、さまざまな治療の選択肢を検討することもできます。靴の専門家も、病気の子どもたちに必要な靴を勉強したいと参加しています。今後は、眼科医にも参加も求め、より総合的に症状を検討できるようにしたいと考えています。

サマーキャンプの準備や進行は、理事のメンバーと会員内のサポーターが中心に行います。開催日は宿泊施設が比較的空いている8月末を選んでいます。施設が協力的であること、浜名湖がほぼ日本の中心で全国から集まりやすいのもサマーキャンプが続いた理由だと思います。入会したばかりの会員や、特に病状や治療で悩んでいる会員などには、直接、参加を呼びかけるようにしています。

子どもたちもサマーキャンプを楽しみにしています。大きくなった患児も参加しますが、大学生などに成長した姿は、発症したばかりの小さい子どもの親には何よりの励みになるようです。親同士の交流は決して傷の舐めあいではなく、学校生活など直面する問題について、体験を語り合い、アドバイスをし合う前向きの展開となるように心がけています。

結成20年を迎えて、成人した患児も増え、病気や障がいを自分自身で学び、受け入れて、社会に適応していく力をつけるべき時期にきています。今年も就職した患児の体験発表や、20歳前後の患児同士で話し合う場なども設けましたが、今後は外部の人や、他の病気や障がいを克服した社会人の参加など、もっと踏み込んだプログラムも取り入れたいと考えています。

若年性関節リウマチは1万人に1人発症すると言われていますが、正しく診断するのも、「薬のさじ加減」も非常に難しい病気なので、専門医にしか対応できない場合も多いのです。近頃はインターネットなどでさまざまな情報が提供されているので、専門医を受診する人が多いのではないか、と考えていたのですが、最近、正しい診断や治療を受けられず困っている人と出会うことが続きました。実際はまだ適切な治療を受けられずに悩んでいる人が多いのではないか、必要な人に必要な情報が届いていないのではないかと強く感じます。だからこそ、専門医や患児、家族が集まり、問題を共有して交流を図るサマーキャンプには大きな意味があるのではないかと考えています。

あすなろ会では1999年にホームページを開設し、2004年に「こどもの関節リウマチのおはなし」という小冊子（A5版全69ページ）を作成しました。特に小冊子の反響は大きく、これにより会員も医師会員も約2倍に増えました。サマーキャンプが開催できるのも、あすなろ会の活動が医師や会員に信頼され、社会的に認められてきたからだと思います。

サマーキャンプにはできるだけ多くの会員に参加してもらいたいのですが、入院などでタイミングが合わず、参加したくても参加できない家族も多いのが現状です。そこで、各支部の集いを充実させて、各地域で医療情報の提供や個別相談を積極的に行っていきたいとも考えています。サマーキャンプも集いも、医師の協力があってこそ実現するものなので、参加してくださる先生方に感謝するとともに、この良好な関係を今後も大切にしていきたいと思っています。

平成17年8月28日(日)〜30日(火)
浜名湖　館山寺温泉　遠鉄ホテル

主なプログラム
●専門医の講話「小児リウマチとは」「小児リウマチの最新治療」
「小児慢性特定疾患研究事業研究班の小児膠原病分野を担当して」
●会員発表「患児の民間保険加入に関して」
●体験発表 ●分科会 ●個別相談 ●全体会 ●ビンゴ大会など